捕手のリードや考え方、守備能力値はデータではわからない!

 捕手リードも一試合を通して、要求通りのコースに制球できる投手はほとんどいません。
また投手の状態、考え方や相性もあり、データ一辺倒で、リードの良し悪しを語れません。
現在プロ野球界を代表する捕手の一人である、ソフトバンクの甲斐拓也捕手がいます。
通称、甲斐キャノンとも呼ばれています。2019年の、巨人との日本シリーズで見せた、相手の
狙い球を見抜き、巨人の中心打者である坂本選手と丸選手、岡本選手を徹底的に抑え込んだ。

捕手のリードや考え方、守備能力値はデータではわからない!

丸選手と坂本選手にはインコース攻め、ストレート狙いの岡本選手には、これでもかと言うほど
カーブを繰り返し投げ、意識付けが抜群でした。球界一番の強肩のため、ランナーを置いた
状況でも投手陣はクイックモーションに気を使う必要もなくピッチングに集中できていました。
走られる心配がない分ピッチングに「甲斐キャノン」のイメージを強く感じさせることができた
のが、ソフトバンクが4連勝で日本一になれた要因でしょう。
巨人は甲斐キャノン一人に負けたとも言えます。

 

投手をリードするのは、非常に難しい、投手という人種はどちらかと言うとお山の大将であり、
わがままな人が多い。捕手は、投手の女房と言われるように。投手のご機嫌を取り、なだめ
すかしながら気分よくさせ、投げさせるのが捕手である。甲斐捕手もエース捕手になるまで、
高谷裕亮捕手が試合終盤でマスクをかぶったり、ベテラン投手の和田毅投手とバッテリーを
組んだりする機会が多く、ベテランの和田投手から多くのことを学んでいたのでしょう。

▲捕手の複数の併用が増えている!

プロ親球も、最近は捕手を併用するチームが増えています。巨人や阪神などほとんどのチームが
複数を併用する体制をとっています。この複数の捕手を併用する体制は決してチームにとって
マイナスではありません。むしろお互いにリードの勉強になるし、刺激にもなるのでプラスの
方が多いと思います。東京オリンピックでは甲斐選手と阪神の梅野隆太郎捕手がマスクを被ぶり
ました。2度対戦をしたアメリカ戦では、準々決勝のマスクは梅野捕手がかぶり、
決勝戦は甲斐捕手が守りました。。

▲東京五輪2人の捕手を米国戦に起用!

日本チームの戦略もありますが、投手陣に対する2人の捕手のリードは明らかに違っていました。
この2人のリードの違いがアメリカの戸惑いを誘ったことは事実であり、作戦勝ちと言えます。
短期決戦の国際大会だから通用した作戦とも言えます。アメリカのバッターは準々決勝の
マスクは梅野捕手のリードのデータが決勝で使えい分けですから。まさに短期決戦の
作戦ですね!通常のペナントレースではあまり意味のない作戦です。
データ指標では表れない作戦です。

巨人の場合は守備力に定評がある小林誠司捕手と打力のある大城卓三捕手の2人を軸に回してい
ます。大城捕手は2021年にセリーグの盗塁阻止率1位に輝いた。が、リードの面で1球外す場面
が多く、打ち取るまでに球数が多くなる習性がある。さらに配球が単調なり、粗くなることが
見られる。このような性格やクセなどは、データ指標では表れない部分です。

小林誠司捕手は、バッティングは大城捕手に劣りますが!また、ソフトバンクの千賀投手の
フォークボールを捕球できなかったイメージが強かったため、一時、過小表価されていまし
たが、克復し、状況判断やブロッキング、リードも良くなり、同僚の菅野に可愛がられ、
守備も上達し、プロ野球12球団でもトップクラスの捕手になったと言えます。打力に目を
つぶれば、捕手としては、一流になったと言っても過言ではないと思います。

▲小林捕手は一流になった!

菅野投手の全盛期は、2017年、2018年がピークと言えます。この2年連続で沢村賞を受賞。
この高いパフォーマンスを残せた背景には、小林捕手のリード面での貢献度が大きく寄与
しています。また2019年も山口俊投手が投手3冠を記録するなどの、キャリアハイの活躍を
しましたが、全試合で小林がマスクを被り、3冠受賞に貢献しました。2016年から2019年
まで4年連続先発投手の主要タイトルを複数獲得したことになります。

 

このように、データでは見えない貢献度の高さが捕手小林誠司選手のリーグで一流の捕手と
言われる所以ではないでしょうか。このように、専門性高いポジションである、捕手の
守備能力値はデータだけでは、到底、判断できるものではありません。

2022年10月14日