スモール ベースボールの勘違い!機動力野球!

 日本の野球は、スモールベースボールとか機動力野球などと言われますが!DeNAの
三浦大輔監督も21年に監督に就任した当初は機動力野球を掲げていました。が、シーズンを
通して3割を打った牧秀吾選手や桑原将志選手、タイラー・オースティンラを擁する打線は、
リーグ2位のチーム打率を残したにも関わらず、結果はBクラス終わった。機動力の象徴とも
言える盗塁数は31でリーグワースト、盗塁死も27と盗塁数とほとんど変わりませんでした。

スモール ベースボールの勘違い!機動力野球!

▲盗塁は戦術であって戦略ではない!

広島の監督を務めた緒方孝市監督も1年目の2015年から機動力野球を前面に押し出して、
その年は鈴木誠也選手ではなく、野間選手を即戦力として起用しましたがチームとしては、
監督の思惑とは違い確率性の低い盗塁が多くなり、全体で85盗塁を記録しましたが、盗塁死は
ワーストの50.前田健太投手、黒田博樹投手、クリス・ジョンソン投手など12球団屈指の
先発ピッチャーが揃っていましたが、勝てず、Bクラスに終わりました。


翌年の2016年に鈴木誠也選手がブレイク。野手は菊池選手、丸選手。田中選手らを中心に3連覇
がスタートしました。3年間の盗塁数は下記の表です。DeNAにしても、広島にしても機動力は
あくまでも、戦術あって、機動力だけでは勝てないと言うことです。打線が打てなくでは、
どんなに盗塁しても、勝ち続けるのは困難あるということです。高校野球でも、健大高崎高校が
機動破壊と称して機動力野球をチームの中心に戦略を立てて戦っていましたが、
一定以上のレベルには行けず、壁が厚かった。

▲機動力を中心の戦略ミスを語った高校の前監督

青柳博文前監督は『完膚なきまで、にやられました。5点くらい差をつけられると、打力が
なければ跳ねのける厳しい。接戦にならないと、機動破壊は無意味なんです』と語り、
戦略ミスを嘆いた。今は、打撃のチームに一新したそうです。機動力野球とは、あくまでも
打線がそれなりに強力でないと、機動力が生きてこないということです。もちろん打線も、
投手力も、守備力も、機動力も全てがそれなりに良くないとチームは強くなりません。

 

プロ野球も高校野球、大学野球も、社会人も機動力を掲げるチームは多くあります。ただ、
この勘違いを正さなければ。先の『健大高崎高校』の監督と同じ轍(テツ)を踏むことになり
ますので、注意が必要です。機動力も投手力や 打力、守備力と同じように、トータルで強化
する考えでないと意味がありません。なぜ、機動力野球にあこがれが根強いのか、
一つには第1回のWBCの影響があると思います。このチームは総合的に
バランスが取れており、トータルで強いチームであった。

 

具体的には、この大会の盗塁数は参加チームの中では断トツに多く、打率や本塁打数も
参加国の中で1位だった。つまり、打戦も、盗塁も、もちろん投手力も、とトータルの
バランスが取れた理想のチームでした。東京五輪も同じようにトータルベースボールで勝ち
ぬいてきました。WBSを見て、走塁、盗塁の重要さを感じた、たくさんの指導者がいたと
おもいます。その一人が先に挙げた健大高崎高校の青柳博文前監督です。同じ失敗をしたのが
DeNAの三浦大輔監督と広島の緒方孝市監督です。盗塁を含め足を中心に野球を
しようとしても戦略にはなり得ないのです。

 

機動力はチームの戦略ではなく、あくまでも一つの戦術でありオプションです。また、
細かい野球をしようと良く新人監督の挨拶で言いますが細かい野球=盗塁、走る、バントする。
と考えがちですが!そうではないのです。盗塁や送るバントなどは、その前二痛烈なヒットや、
センタ―越えの長打を打って塁に出ているのです、ここで初めて。送りバントや盗塁の
チャンスが生まれるのです。つまり、送りバントや盗塁は2次的作業なのです。
この2次的作業を細かい野球というのです。この、2次的作業を前提で戦略を立てたり、
打線を組んだりしても野球は強くならないのです。

2022年10月17日